神の手/河辺たけひろの『暮らしをもっと不便に!』Vol.74

どこの世界にも、「巨匠」とか、「神の手」と言われる、
スゴイ人がいるものです。
 
今回は、「神の手」の本質とは何か?
ということに迫ってみたいと思います!(^^)

マイク
ボクは昔、音楽の仕事をやっていました。
20代の半ばから40代の後半ぐらいまで。
 
ボクの専門は主に、音楽制作という仕事。
クライアントさんからオーダーを戴いて、
作曲したり編曲したりプロデュースしたりしながら、
音楽をレコーディングして、出来上がったものを納品するという仕事。
 
たくさんの一流アーティストさんとも仕事させて戴きました。
CDを作ったり、テレビCMの音楽を作ったり、映画やアニメやゲームなどの音楽も、
たくさん作りました。
 
音楽のレコーディングスタジオの中では、
楽器を演奏するミュージシャンや歌い手さん以外にも、いろんな人達がそれぞれの役割の仕事をしています。
 
その中の一つに、「レコーディング・エンジニア」という役割の人がいます。
 
楽器の前や歌い手さんの前にマイクを設置して、それをテープレコーダーなど、たくさんの機材を使って「録音=レコーディング」する、技術職のお仕事。
 
いい音で録音するためには、演奏者の腕はもちろんだけど、このエンジニアさんの腕が非常にモノを言う。
どういう位置に、どういう風にマイクを立てるか、微妙な加減によってビックリするぐらい音の善し悪しが変わってくる。
 
そして、どこの世界にも、「巨匠」とか、「神の手」と言われている人が存在するものです。
 
 
あるテレビCMのお仕事の時、
その世界ではチョー有名な、知らない人はいないというぐらいの「巨匠」と呼ばれているエンジニアの方とお仕事させて戴きました。
山下達郎さんや大瀧詠一さんという、日本のポップスの歴史を作ってきたアーティストさん達の作品を数多く手がけてきていらっしゃる「匠」。
 
スタジオの中でその方がマイクをセッティングして、レコーディングの準備をしていく。
そして演奏が始まって、レコーディングが進んでいく。
 
それが、ビックリするぐらい音がいいのです!!!!
 
別に何の変哲もない、特別なことも何もない、
フツーに使われている、よくあるマイクを、フツーの位置に立てている。
レコーディング機材もフツーのセッティング。
 
「なんでこんなに音がいいの!!???」
 
全く不思議としかいいようがない。
ナゾとしかいいようがない。
 
 
ボクは考えました。
その音の良さに感動しながら考えました。
 
 
「いやこれはゼッタイ、マイクさん達が喜んでいるからだ!!!」
 
(笑)
 
いやでも、マジで、そうとしか考えられない!!(笑)
 
つまり・・・
 
巨匠の「神の手」に触られたことで、マイクさん達が、やる気が出ちゃっている状態!!
「おーー、今日は巨匠じゃないか!!」っていう感じで気合いが入っちゃう!!
 
そうとしか考えられない!!(笑)
 
音楽の録音なんてね、はっきり言って、
たかだか、空気の振動を電気信号に変換して、それをテープレコーダーとかに記録していく、
っていうだけのことなワケです。
 
それが、誰がやるかによって全然違ってくる。
 
その人の「気」が、マイクという「モノ」にも伝わって、電気信号にも乗っていく。
そうとしか考えられないのです。
 
 
ボクは日々掃除の仕事をしながら、時々このエピソードを思い出します。
 
つまりね、
河辺さんの手に触られると、エアコンさんが喜んじゃう、っていうこと(笑)
河辺さんの手に触られると、お風呂さんが喜んじゃう、っていうこと(笑)
 
そういう掃除屋になれたらいいなと思います。
 
音楽で言えばね、超一流のミュージシャンの演奏って、
ちょっとぐらい音を間違えたとかリズムが狂ったとか、
そんなことはどうでもいいのです。
「その人の演奏がとにかくスゴイのよ!!!」みたいな。
 
実際に、歴史的に高く評価されている音楽作品で、
良く聞くと、音を間違えたりリズムがずれたりしている作品は意外とたくさんあります。
 
でもね、だからダメ、っていうことではなく、
やっぱりその作品はスゴイのです!!
 
そんな掃除屋になりたいなと思います。
 
ちょっとぐらい汚れが残っているとかどうのこうのとか、
そういう問題ではない、
とにかくスゴイ掃除屋!!
 
そんな掃除屋。
 
では、どうしたらそういう掃除屋になれるのでしょう??
 
日々精進、切磋琢磨、自己研鑚・・・
 
 
毎晩のように飲んだくれてるようじゃダメか!!(笑)
 
いやいや、最近は大分、酒の量を減らしてます(笑)
 
「神の手」目指して!!( ̄^ ̄)ゞ